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キャット・フレンドリー・クリニック

インタビュー記事

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Q:CFCを取得するにあたり、CFCの基準から学んだこと、良かった点は?

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「犬は飼い主を、猫は自分を神様だと思っている」、「猫は小さな犬じゃない」という二つの言葉は、猫という動物を的確に表した表現だと思います。Cat Friendly Clinic(CFC)を取得するに当たって、「この言葉を実践しよう!!」が始まりでした。CFCの基準を読むと、猫の習性に合わせた待合室、診察室、診察の仕方、扱い方が犬と全く異なっていることに驚きました。もちろん、以前から犬と猫は動物種が違うわけですから、そのように扱っていると思い込んでいましたが、CFCの基準に照らし合わせた時、いかに自分たち本位の考え方であったことがよく分かりました。たとえば、血液採取の時、今までは犬と同様にガッチリ保定していましたが、猫の習性に合わせ、少しでも安心できるように飼い主さんに頭や顎をなぜてもらいながら、そっと看護師さんに後ろ足を駆血してもらって行っています。するとどうでしょう、比較的神経質な猫でも、すんなりと採血をすることができます。検査にしても、無理に押さえつけず、飼い主さんの話を聞きながら、必要最小限の検査を猫の行動に合わせて行うようになりました。そうすることで、飼い主さんから「前に行っていた病院と猫の態度が違う」と言われることが多くなりました。

Q:犬と猫の接し方の違いはありますか?

ワンちゃんのときはHighテンションで、ネコちゃんのときはLowテンションで接するようにしています。猫を診察するうえで特に気を付けていることは、1)大きな声や音を出さない、2)大きく素早い動きはしない、3)できるだけ目を合わせない、4)後ろからそっと触るなどです。これは、診察のはじめにに飼い主さんに説明しておいて、理解してもらうようにしています。大きな声を出した時に「シーッ!!」というのは、厳禁です。猫にとっては威嚇になりますから。

Q:待合室、診察室、入院室のこだわりを教えてください
  • 待合室写真
    「猫の時間」は、基本的に来院は猫のみとなります。また、待合室の奥のスペースは猫バージョンに変更して、ケージを地面に置かなくて良いよう、可動式の棚を設置しています。また、ケージカバーを持って来られていない飼い主さんには、受付でカバーをお貸しするようにしています。
  • 診察室写真
    「猫の時間」が始まる前には、診療室も完全に猫バージョンに変更し、隙間はタオルで隠し、部屋の隅にタオル入りのダンボール箱を置いて逃げ場を作っています。また、診察室の扉の開閉をできるだけ少なくするよう、診察に必要であろうと思われるものは、あらかじめタックルボックスに入れて用意してあります。基本、診察室の中での猫は自由です。
  • 入院室写真
    看護師さんの考案で、ケージの天井からタオルを1枚垂らし、通称「ネコ蓋」を作っています。こうやって、少しでもくつろげる空間を作ってやると、時々外の様子をうかがっています。それから、以前聞いた服部先生の講演で、「猫は静寂を嫌う」と聞いたので、早速ラジオを買ってきて、夜間に小さな音で音楽を流すようになりました。
Q:キャット・フレンドリーな取り組みについて教えてください。

平日の12:30〜13:30、週末の13:00〜14:00、週5日間、「猫の時間」を作り、猫好きの専任スタッフが診療に当たっています。
猫好きの専任スタッフ選定のポイントは、1)まず猫を飼っていること、2)「犬と猫どっちが好き?」と聞いたら、即座に「猫」と答える人、を選びました。現在、私と医局長、看護師3名が専任で診療しています。
やはり、専任スタッフが診療を行うと、猫は大人しいことが多く、「以外と暴れないんですね」と飼い主さんから言われるようになりました。専任スタッフ以外が診療していると、猫の文句が沢山聞こえますが。。。専任スタッフで構成された「猫チーム」は、定期的にミーティングしながら、「さらに快適な猫空間」を作れるようにアイデアを出し合っています。 まさに「人が変われば視点が違う」。

Q:先生の考えるキャットフレンドリーのあり方とは?

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「犬は飼い主を、猫は自分を神様だと思っている」、「猫は小さな犬じゃない」、この二つの言葉に凝集された意味を深く考えて実践することに尽きると思います。その具体的な実践方法の第一歩がisfm(International Society of Feline Medicine)のCFCを取得する努力であると思います。何もないところから始めるのは、至難の業ですし、また偏ったスタイルを作ってしまう原因にもなります。まずは基準に沿って病院とスタッフを整備し、そこからアイデアを出し合って、「より快適な猫空間」を創造することが大切だと思っています。
猫の診療が「犬の診療の延長線上」であったことに気づいて、部分的、時間帯でも良いから、猫仕様に変化させることが「キャットフレンドリー」を作るキーポイントだと思います。猫の気持ちに寄り添う努力をすれば、おのずと見えてくることがあります。是非、猫になって、診察される側を知る努力をしてみてはいかがでしょうか。そして、「猫に優しい」ムードが高まってくることを期待しています。猫は自分のことを「神様」と思ってるのだから。